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FOTOLOGUE/フォトローグ
 
  FOTOLOGUE東京  9/29
 


“ I am an enigma ”

  浦上純子 
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“私は謎だ”。姪のフローレンスの問いかけに老境に達しつつあったマン・レイの言葉。久々におもしろい芸術展に行った。場所は埼玉県立近代美術館。地元埼玉の美術館だった。たま〜に「おぬし やるな!!」という企画展をするところである。マン・レイの名は“上っ面知識”、点を線で結んで考えられない単純な私にとっては「マン・レイ?ああ、有名な写真家でしょ。」くらいの知識しか持ち合わせていなかった。しかし、この企画展はとてもおもしろく、マン・レイの人となり、芸術のおもしろさを知るきっかけをつくってくれた。

「ふりかえってみると、自分の好奇心と発明の才に感嘆せざるをえない。私は事実、もうひとりのレオナルド・ダ・ビンチだったのだ」と自らがいうほど、写真のみならず、絵も描き、オブジェも作り、映画も作るといった多彩な才能の持ち主だった。その上、芸術の影に ( この人の場合は表にもだけど ) “おんな”ありで、さまざまな恋愛を芸術にしている。まったくうらやましい限りだ。恋に破れた後、恋人リー・ミラーの写真の目の部分だけ切り取って、メトロノームに貼り付けて『破壊すべきオブジェ』という作品を作ったり…。マン・レイのおもしろいところは作品の再製作=B1つの作品を変身させていくところ。この『破壊すべきオブジェ』も6回の変身の末の『永続するモチーフ』という作品が出来上がった。

会場にマン・レイの謎≠ニいうワークシートがあった。@謎の名前「人間・光線」A謎のマルチな芸術家Bセルフポートレートの謎Cこだる主題の謎D人物の写真の謎。謎≠キーワードにマン・レイを紹介していた。最初のほうに、ダンディーをきどったマン・レイのセルフポートレート。最後のほうに、還暦のお祝いのように赤いカーディガンを着た年老いたなんともほのぼのしたマン・レイの写真が展示されていてわずかなスペースでマン・レイの生涯が垣間見られた。みなさんも時間があったら、是非、埼玉まで足をのばしてくだされ。

「レディーメード」の方法をとったオブジェの写真作品をみながら、「もしかして、牛乳ビンの上にリンゴをのせて、ピンホールで撮った私の作品も、これに似ているかも…」と思わずニンマリした私だった。

<参考>『マン・レイ』展(〜 10.27 まで)さいたま県立近代美術館( JR 北浦和駅 徒歩 5 分)入場料 ¥1000北浦和公園の中にあり、お天気のよい日はお散歩に最適。せっかくここまできたら、電車にあと二駅乗り、さいたま新都心駅へ。最近オープンしたばかりの大型ショッピングモール“ COCOON ”があります。