鉄の大地 銅の空
人間の存在そのものが、ドラマチックにこだまする。
1987年/トルコ/カラー/1時間45分
トルコの監督ズルフュ・リヴァネリは、国民的作曲家であり、トルコ民族 楽器の奏者、また、舞台演出家、作家としても世界的に知られている。 アルビン・トフラーや、アーサー・ミラーなどの著名な文化人とも 交流、二作目の「霧」は89年カンヌ映画祭で高い評価を得ている。
トルコ・アナトライ高原の雄大な冬景色の中で撮影された本作品は、 自分の意に反して聖人の役目を果たす義務を負うことになった男の 物語である。
貧しく小さな山村。不当な封建制のもとで綿栽培に従事している 村人たち。ここへは毎年債権者である町の裕福な商人たちが やってきて、彼らから何もかも没収してしまう。「収穫は絶望的、 女房たちや子どもたちには何もしてあげれない。この村に 春は来ない」
絶望のどん底に落とされた中で、村人タシバシの周りには不思議な出来事が次々と起 き、村人たちは次第に彼こそが自分たちを全ての悪から 救ってくれるメシア(救世主)と信じるようになり、彼自身も自分が 聖人であることを受け入れるようになるが・・・。
神話的な世界から紡ぎ出される伝説は、終わることなく永遠に、 雪の中をさまよい続ける。
ヴィム・ヴェンダース製作作品。
原題 Yer Demir Gok Bakir
監督 ズルフュ・リヴァネリ
脚本 ズルフュ・リヴァネリ
音楽 ズルフュ・リヴァネリ
原作 ヤシェル・ケマル
撮影 ユルゲン・ユルゲス
美術 ギュレル・ヨンタン
編集 ベティーナ・ボーラー
録音 ロタール・マンケウィッツ
出演 ルトカイ・アジズ
ヤブゼル・チェティンカイ
マジデ・タニール ほか
1987年 カンヌ映画祭
"ある視点"部門出品作品