月の子ども |
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バルセロナの夜は、ブルー・ムーンの眩惑。 |
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1989年/スペイン/カラー/1時間55分 |
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月の不可思議な力をモチーフに、ひとりの少年の夢を幻想的に描く本作品は、現代ス
ペインの映像を代表しているといえる。マヨルカ島生まれの 監督ビラロンガは、舞台俳優としてデビュー。その後俳優、コスチューム・デザイ
ン、美術、シナリオライターとして活躍してきた。その映像は美意識に 溢れモダンでファッショナブル。
1989年のカンヌ国際映画祭でスペイン映画唯一のオフィシャル・セレクションに 選ばれたが、ペドロ・アルモドバルとは対極的な存在といえる。
アルモドバルが描く人物像が常lに成熟した女性、しかもバイセクシャルなことがあ るのに対し、ビラロンガは少年に人間の感性を、神秘的に、幻想的に、そしてユニ
セックスを感じさせるように凝縮させている。
アフリカ大陸のある部族には太古の昔から伝えられた伝説がある。“月の子ども”と 呼ばれる白人の姿をした神が人々の前に現れるという・・・。
ヨーロッパでは戦争が終わり、でも次の戦争が始まる予感のある不安で憂鬱な時代を 迎えている。孤児のダビは、自分の持つ超能力に気づくとともに、
自分は神によって選ばれた人間であり、“月の子ども”あることを知る。 どんな犠牲を払ってでも自分に与えられた神意を人々に伝えなくては
いけない、という使命感を強く抱くようになる。
ある秘密結社がそのダビに目をつけ、彼の超能力を研究しようと、 彼を迎い入れる。ダビはその組織がある研究をしており、その 開発計画を練っていることを知る。それは、月の持つエネルギーを
誕生前の子どもに伝送し、超能力を持つクローンの“月の子ども”を 生産するという計画である。半信半疑な気持ちでその組織から 逃げ出したダビは、今まで以上に自分の存在と使命感を強く自覚する
ようになり、アフリカを目指すのだが、組織は彼の旅をはばもうとする・・・。  |
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