ムンク
愛のレクイエム
1976年/ノルウェー・スウェーデン合作
/カラー/2時間50分
本作品は、ムンクの育った家庭、1883年の画壇へのデビュー、 “クリスチャニア(現オスロ)のボヘミアン”と呼ばれていた近代芸術家 及び作家たちとの交流、そしてムンクの人生、作品に大きく影響を 与えた女性ハイベルグ夫人とのロマンス、その女性たちがひとりの人間として自立、 解放されない時代性などを丹念に描き出している。
画家が常に抱いていた“人間の内面の真実への探求”“人間が持って生まれた、生へ の不安”など、その心の繊細さを監督ワトキンスはキャンバスへのブラシワークの執 拗なクローズアップにより伝えようとしている。
2時間50分という長尺な作品は、ムンクの日記にきわめて忠実にそっておりドキュ メンタリータッチで演出、観る者をムンクの記憶の内側に 置くように作られている。観る者は監督の罠にはまり、まるで自分が ムンク自身に、あるいはムンクの家族や知人であるかのように 錯覚し、彼の生きた時代を“生きる”こととなる。多くのイメージの輻輳、 繰り返す淡々としたフラッシュバックの混在、こうしたことから 「激しくゆるぎないムンクへのオマージュ(合田佐和子)」となっている。

登場する絵画作品ー
「ベッドに座る少女」「妹インゲル」「病める子」「自画像」 「春」「妹ラウラ」「岸辺のインゲル」「カールヨハン街の春の宵」 「病室での死」「叫び」「マドンナ」「吸血鬼」「女の三段階」「思春期」 「燃えるたばこを持つ自画像」「魅惑」「不安」「接吻」 「その翌日」など
原題 Edvard Munch
監督 ピーター・ワトキンス
脚本 ピーター・ワトキンス
出演 ゲイル・ウェストビー
グロ・クロース
コーレ・ストールマルク
アルフ・コーレ・ストリンベルク
ほか