つめたく冷えた月
拝啓ブコウスキー殿 パリから愛を込めて奏でる危険なロックを聞け。
1991年/フランス/モノクロ
/1時間30分/R15指定
1991年5月カンヌ映画祭にフランスを代表する作品の1本として出品。 その奇抜なストーリー展開と斬新なモノクロ映像美で批評家達を圧倒。 今までに扱ったことのない“タブー”に挑戦したフランス映画として 賛否両論となった。日本公開では、この作品に“極めて危険な恋”を 描いたためにRな映画とのレッテルを貼られた。
ジミ・ヘンドリックスの音楽にのせておくる、どうしようもない中年チンピラ ふたりの笑える“狂気”と“ロマン”の物語「つめたく冷えた月」。 日がな一日、女の尻を追い回すデデ、海をこよなく愛しているシモン。 ふたりはなぜか気が合う仲間だ。アルコールにセックス、月夜は ふたりの独壇場。満月ならばなおけっこうとばかり、ふたりのパワーは 全開する。ある夜、ふたりが手に入れた(美女)は、他のどの女達 ともちがっていた。ここで、ふたりは親友以上の、人生の共犯者に なってしまうのだった。
本作品で、監督・脚本・主演の3役をこなしたパトリック・ブシテー( 「人生は長く静かな河」「ダニエルばあちゃん」)は、70年代より映画、 テレビで活躍してきた中堅の俳優である。“分類不可能な”才能として 評価されてきた彼の、すべてを凝縮したのが「つめたく冷えた月」であると 言えよう。その、ブシテーがアメリカ文学の作家チャールズ・ブコウスキー の世界に魅了され、短編“人魚との交尾”をもとに26分のフィルムを 作り上げた。90年セザール短編劇映画賞を獲得したこのフィルムを 観たリュック・ベッソン(「グラン・ブルー」「アトランティス」)の 目に止まり、新たに長編作品として製作したのが本作品である。 キャストに、“人魚”に恋をしてしまうジャン=フランソワ・ステヴナン (「パッション」「夫たち、妻たち、恋人たち」)が、異常さを秘めた ナィーブな役柄で好演。また“哀れな美しい人魚”は、本作品が デビューのカリン・ナリス。リュック・ベッソン製作ゆえの、海のシーンは 限りなく美しく描かれている。
原題 Lune Froide
製作 リュック・ベッソン
監督 パトリック・ブシデー
脚本 パトリック・ブシデー
原作 チャールズ・ブコウスキー
撮影 ジャン=ジャック・ブオン
音楽 ジミ・ヘンドリックス
プロコル・ハルム
キンクス
出演 パトリック・ブシデー
ジャン=フランソワ・ステヴナン
ジャン=ピエール・ビッソン ほか
1991年 カンヌ映画祭 正式参加作品
1992年 セザール作品賞ノミネート