ふくろうの叫び
それは、のぞきから始まり、そして、のぞかれた女 との危険な関係が生まれた
1987年/フランス・イタリア合作/カラー
/1時間42分
ヒッチコックの「見知らぬ乗客」、ルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」 、ヴェンダースの「アメリカの友人」など多くの監督たちから映画化を 熱望されていた“パラノイア・ミステリ”の女王パトリシア・ハイスミス。 誰もが思い当たる日常の些細な出来事から発生していく“ねじれ”や “ひび割れ”、そして不吉な運命へと巻き込まれていく人間の様を ひとつの人生観として描くその世界は、ミステリを超えた一級の 文学としても高く評価されてきた。
夜ごとロベールはジュリエットの家の周囲をうろつきまわり、彼女の 生活をのぞいている。ただひたすら彼女がなにをしているかをのぞく。 これが彼の夜の日課なのである。結婚生活に失敗し、精神的に 疲れていたロベールにとって、健康的な若い女性ジュリエットの 生活ぶりは、自分にとって性的欲求を満たすものというよりも、 精神的な安らぎとなっている、そう自分に言い聞かせ、悪意はないつもり だった。
ある夜、彼はついにジュリエットにその行為を見つかってしまう。 あわてるロベール。しかし、彼女は意外な反応を示すのだった。 そして、この二人の奇妙な出会いが、思いもかけない不幸な 事件を呼びさまし、周囲を巻き込んでいくことになるのだった。



ハイスミス出版情報
「ガラスの独房」(64)扶桑社ミステリー(96年12月刊)
「リプリーをまねた少年」(80)河出文庫(96年12月刊)
「プードルの身代金」(72)扶桑社ミステリー(97年1月刊)
Those Who Walk Away(67)扶桑社ミステリー(97年2月刊)
「水面下のリプリー(仮)」(91)河出文庫(97年春)


原題 Le Cridu Hibou
監督 クロード・シャブロル
製作 アントニオ・バッサリア
脚本 クロード・シャブロル
&オディール・バルスキー
原作 パトリシア・ハイスミス
音楽 マチュー・シャブロル
撮影 ジャン・ラビエ
衣装協力 クリスチャン・ディオール
出演 クリストフ・マラヴォワ
マチルダ・メイ
ヴィルジニ・テヴネ
ジャック・プノー
ジャン=ピエール・カルフォン
ほか
1987年 セザール賞 最優秀新人女優賞