パリの天使たち
パリだから、ヨソとは違う
ホームレスは、どこから来て
どこへ行くのか?
1991年/フランス/カラー/1時間36分
生まれつきのホームレスは滅多にいない。ホームレスになる前の生き方は 千差万別。“明日は我が身?”の現代なら、人は皆ホームレスに注目するのが当たり 前。
“臭いものにフタ”をせず、そのプロフィールをコメディタッチに描いていく のが、ジェラール・ジュニョー作品。まさに、フランス映画ならではの“おかしいの に泣けてくる。カラクチなのにほのぼの。”とした仕上がり。ジュニョーの 哲学はただ一つ、「人は追いつめられ、最悪の時が不思議に一番 笑えるのだ。
セールスマンからそうなってしまった男を演じるのは、ジェラール・ジュニョー。パ トリス・ルコントの「タンデム」に出演していたが、今回は彼の 監督出演作品。あの「デリカテッセン」を凌ぐ人気となった。
すでに上級クラスに位置するホームレスの親分を演じるのは「フランス の思い出」「フランスの友だち」「ディーバ」そして「イヴォンヌの香り」 などで人気最高となり、娘ロマーヌの父親としても目が離せない、 リシャール・ボーランジェ。上級VS初級としての“ホームレス魂”を ぶつけ合う。
他には「パリ空港の人々」にも出演しているティッキー・オルガドが “下級ホームレス”を演じていて、フランス本場のホームレスそのものの リアリティに迫る。アルモドバルガールからパリのマダムに返信した ビクトリア・アブリルのスチュワーデス姿は彼らと対照的に描かれる。
シャルル・ドゴール空港や、ノートルダム寺院など、パリの名所とそこに 出没する彼らが、“今”のパリの横顔を写していく。さながら、ルイ・マル の「地下鉄のザジ」のように。
原題の“Une Epoque Formidable”は、“素晴らしい時代”“最高の時間” “最悪転じて最高の時間”の意。この原題の持つ意味合いを、この映画 を見る全ての人にそれぞれ感じてもらいたい。
ベテラン・セールスマンでならしてきたベルティエに、突然の解雇命令が !でも、そんなこと、男のメンツにかけても美しい愛する妻には言えない。 それで嘘の上塗り。気づいた時には一人ぼっちでパリの空の下を さまようハメに。そこで今まで出会ったことのない男たちとめぐりあう。
原題 UNE EPOQUE FORMIDABLE...
監督 ジェラール・ジュニョー
脚本 ジェラール・ジュニョー
フィリップ・ロペス=キュルヴァル
音楽 フランシス・カブレル
撮影 ジェラール・ド・バッティスタ
製作総指揮 アラン・ドパルデュー
製作 ジャン=クロード・フルーリー
出演 リシャール・ボーランジェ
ビクトリア・アブリル
ジェラール・ジュニョー
ティッキー・オルガド
チック・オルテガ ほか